改訂新版へのまえがき

 初版の出版されたのはもう20年以上も前のことです。初版のまえがきでは「日本のエスペラント運動には,残念ながら,まだ系統的な文法学習書がありません」と書きましたが,今では藤巻謙一さんの『まるごとエスペラント文法』(2001年,日本エスペラント学会)という好著があります。また,この間,新版Plena Ilustrita Vortaro(2005年,Sennacieca Asocio Tutmonda)や『エスペラント日本語辞典』(2006年,日本エスペラント学会)といった辞書類の出版もあり,エスペラントの学習環境は大きく改善されました。が,本書で取り上げた事項の多くは,現在でもなお,中級の学習者のみなさんにぜひ読んでいただきたい内容を含んでいると思います。
 今回の改訂に当たっては,主として時代の変化のなかで古くなってしまった記述を修正することに留意しました。ただ,異色の章である「7.関西弁とエスペラント」に出てくる,当時の時代背景を反映した事柄については,読み物としての面白さを保つために,そのままにしました。
 なお,最後の章「23.相対時と絶対時」で述べている使い分けの基準は本書で初めて提示したもので,その後,『エスペラント日本語辞典』の付録に取り入れられたことを付記しておきます。

2009年4月9日

小西 岳